ヒアルロン酸注射で血栓が起きた症例
26.10.14他院で額とほうれい線にヒアルロン酸を注入した後で、血流障害の症状が出た方が来院されました。

他院でヒアルロン酸をおでことほうれい線に5本注入して、
しばらくしてから発熱とリンパ節の腫れ、広範囲の皮膚の赤みが現れ、
内科でリンパ節炎と診断されて、抗生剤による治療を受けられていたそうです。

静脈塞栓を疑い、ヒアルロン酸溶解剤を注入しました。
(After は翌日の写真です)
実はこの後、逆側にも症状が現れて、
更なる治療が必要になりました。
塞栓したのが動脈ではなく静脈だったこと、皮膚壊死にならなかったこと、目の症状が出なかったことは、不幸中の幸いで、本当に良かったと思いますが、
きれいになりたくてお受けになった注入治療で大変なトラブルが起きて、
「一体、どうなってしまうんだろう」と、とてもご心配で、お辛い時間を過ごされたことと思います。
今回は、患者様からお話を伺って、前医について疑問に思うことがありました。
前医はヒアルロン酸の料金が非常に安いクリニックでした。
料金が安い所はだめ、とは一概に言えませんが、
極端に安い場合は、安いなりの理由があると考えた方が良いと思います。
前医では、
「ヒアルロン酸1本はブルーベリー1粒分の量だから、
額には8本位、こめかみにも片側で8本位、入れないといけない」
といった説明を受けたそうです。
額やコメカミは、当院では通常、1〜2本程度しか入れない部位です。
様子を見ながら必要に応じて多少、足すことはあっても、そんなに大量に入れることはありません。
安い単価を量でカバーして採算を取ろうとしているのか、
技術的な問題で、たくさん入れなければ効果を出せないのか、
経験不足で大量に入れた結果がどうなるのか把握できていないのか、
あるいは、美的センスに問題があるのか…と勘繰ってしまいます。
さらに良くないな、と思ったのはトラブルが起きた時の危機管理の甘さです。
患者様が状況を前クリニックに電話で相談すると(昼頃)、診療が終わる19時に来るように、と言われたそうです。
皮膚の色が変わってきた、というのは「すぐ来てください!」とならなければいけない緊急事態で、
診療がどんなに混んでいても、最優先されるべきです。
緊急かどうかを電話だけで判断できなければ、少なくとも写真を送ってもらって確認する必要があると思います。
ドクターや対応したスタッフが知識不足なのか、
クリニック内の連携不足なのか分かりませんが、
トラブルが起きた時に責任を持って迅速に、適切な対応のできないクリニックで注入治療を受けることは非常に怖いことだと改めて思いました。
ヒアルロン酸注射は見た目の結果だけでなく、安全性のためにも、信頼のおけるクリニックでお受けになることをお薦めします。
解剖学的な知識をしっかり持ち、適切な技術で丁寧に治療することで、
塞栓のリスクは非常に低く抑えることができます。
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