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ボラックス シリーズ最高密度のヒアルロン酸が発売に

21.03.02

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アラガンジャパンのジュビダームビスタ®︎バイクロスシリーズで最も密度が高くて硬い製剤、ボラックスが販売開始になりました♪

アラガンジャパンのヒアルロン酸製剤新発売のボラックスはフェイスラインや顎、鼻の形成に
販売を首を長くして待っていた製剤です♪

シリーズ4番目 待望の製剤の登場です!

バイクロスシリーズで日本で承認を受けているのは
1)頬やフェイスライン周り・こめかみetc.のボリュームアップに使う
ボリューマ
2)しわを埋めるetc.に使うボリフト
3)唇の形成やしわ・へこみの修正etc.に使うボルベラの3つで、
そこに新たにボラックスが加わりました。

ボルベラ(15mg/mL)、ボリフト(17.5mg/mL)、ボリューマ(20mg/mL)の順で密度が高くなり、ボラックスは25mg/mLと最も高密度です。
硬さがあって、しっかり立ち上げたり、かっちり形を作るのが得意で、顎やフェイスラインの形成を目的に開発されました。

硬いってどういうこと?

弾性(ジープライム)と凝集性

ヒアルロン酸の硬さを表現するのに弾性(ジープライムG!)と凝集性(コヒーシビティー)と言う、2つの用語があります。

弾性や凝集性という言葉は、世間一般では色々な使われ方をしますが、注入製剤の分野では以下のように定義されています。

弾性(ジープライム)
外から力がかかって変形した後で、元に戻る性質のことで、元に戻ることを弾性が高い、変形してしまって戻らないことを弾性が低い、と表現します。
例)
弾性が高いもの:ストレスボール
当院で注入治療をお受けになったことのある方はご存知ですね(笑)
ストレスボール治療の時に握っていただく、あのボールです。
どんなに力を込めて握ってペチャンコにしても、治療が終わって戻していただく時には元の形に戻ってます。
弾性が低いもの:つきたてのお餅
指で押して変形したら元に戻りません

凝集性(cohesively)
押しつぶした時に変形せずにひとつにまとまった状態をキープすることを凝集性が高い、広がってバラバラになりやすことを凝集性が低い、と言います。
例)
凝集性が高いもの:鉄
ちょっとやそっとでは変形しません
凝集性の低いもの:粘土
押すと簡単にペチャンコに広がってバラバラになります

ややこしいですが、この2つの言葉でどういう性質のヒアルロン酸製剤なのか、パッと理解できて便利です。

ボラックスは、弾性と凝集性、どちらも非常に高いです。

 

ヒアルロン酸の硬さ製品による違い
表を見ると、ボルベラ(ピンク)、ボリフト(紫)、ボリューマ(グレー)までは弾性・凝集性が直線上に増えていますが、ボラックス(緑)で急激に伸びているのが分かります。
ボラックスは、断トツで硬いということです。

硬いのに自由度の高いボラックス

ボラックスは弾性と凝集性のどちらも高い、硬い製剤ですが、注入直後は外から圧力をかけて、形を整えることができます。顎や鼻に注入した後で、「あ、もうちょっと細くしよう」とか「少し太さを出そう」と思ったら、形を整える(モールディングする)ことができるのです。そうして形を整えた後は、時間が経過してもそのままの形や高さがキレイに保たれる、非常に成形性の高い製剤です。
とても硬いのに自由度が高い、そんな不思議なヒアルロン酸製剤がボラックスなのです。

膨張しにくい

ヒアルロン酸は水を吸収しやすい性質があります。この性質のおかげで、肌や眼球(私たちは身体にもともと、ヒアルロン酸を持っています)が瑞々しさを保っていますが、顔に注入したヒアルロン酸が水を沢山吸収してしまうと、直後の仕上がりが良くても、時間が立つと膨張してチンダル現象を起こしたり
(チンダル現象についてはこちらの記事を参照にしてください≫ 『目の下のチンダル現象とその補正』)、
顔が大きくなったり、形成した鼻が膨張するアバター鼻の原因になります。
バイクロスシリーズは吸水性がとても低く、時間が経ってからも仕上がりが美しいです。

効果はどれ位持続する?

添付文書にはボラックスの持続期間は18ヶ月以上、とされていますが、2年〜2年半程度、持つと思います。

ヒアルロン酸の密度が高いほど、持続期間は長くなります。
ボルベラ(15mg/mL) が約1年、
ボリフト(17.5mg/mL)が約1〜1年半、
ボリューマ(20mg/mL)が約1年半〜2年、
と来れば、単純に考えると
ボラックス(25mg/mL)は2年〜2年半持つはずです。

それなのにボラックスの持続期間が1年半〜となっている理由は、最初に認可を受けた地域が影響しています。

ボルベラ・ボリフト・ボリューマはアメリカFDAで認可を受けたのですが、ボラックスはアメリカに先駆けてヨーロッパCEで認可を受けました。CEでは18ヶ月以上のデータはないために、18ヶ月以上となっているのです。

優れた操作性=高いデザイン性と安全性に直結

ボラックスは硬い製剤なのに、シリンジを押し出す時に力がそんなに必要ありません。「これが硬い製剤なの?」と拍子抜けするくらいに少ない力で、ス〜ッとスムーズに押し出せます。

ヒアルロン酸製剤の中には、ものすごく力を入れなければ押し出せないものや、スタックして押してもなかなかシリンジが動かず、グッと押すと急にヒアルロン酸がドバッと出てしまうような物もあります。

製剤の中身はもちろん大切ですが、どんなに製剤が良くても、操作性が悪くて押出すのに精一杯となると、きめ細やかに治療できませんし、安全性も落ちます。

ジュビダームシリーズ(バイクロスもその一つ)の操作性は本当に優れているので、施術の時に余計なことに気をとられず、治療に専念できます。

シリンジの太さや長さ:長いと手の小さい女性は注入が難しくなります。太すぎず、細すぎず、長すぎず、短すぎずの絶妙な形状です。
安全に注入するために、アスピレーションと言って、陰圧をかけるテクニックがあります。製品によっては、アスピレーションをかけた時に、プランジャー部分がスポンと抜けて、ゴムだけ残ることがあります。(伝わるかな〜…)
ジュビダームシリーズはしっかりアスピレーションかけてもプランジャーが取れてしまう心配などせずに済み、安心して使えるデザインです。

シリンジと針の接合の良さ:ヒアルロン酸はゲル状の硬いものなので、針とシリンジの接合が悪いと、押し出しの圧力で針が緩んで、中身がブシュッと出てしまうことがあります。アラガン社のヒアルロン酸製剤でブシュッとなったことは今まで一度もありません。

プランジャーの形状:適度に大きくて、指にぴったりフィットして、ぶれずにとてもスムーズに押し出しができます。

:専用の針は切れ味が良くてへたりにくいです。骨にあてて注入する場合も、優しくやれば先が鈍くなって切れ味が落ちることが少ないです。
内腔が広く、少ない力で押し出しができます。
今まで針が詰まったこともありません。

 

クレビエルコントアとレディエッセとの違い

ボラックスと似た注入製剤に、クレビエルコントアとレディエッセがあります。どちらもボラックスと同様、硬くて、膨張しにくく、シャープな形を作りたい時に向いています。

クレビエルコントア

クレビエルコントアは今あるヒアルロン酸製剤の中で、一番高密度の50mg/mL!
ボラックスの倍の濃度があります。
ではクレビエルの方が固くて長く持つのか、というとそうではありません。

ボラックスをはじめバイクロスシリーズは、従来のヒアルロン酸製剤と同じ、100%ヒアルロン酸なのですが、低分子と高分子が混ざり合う特殊構造で、低密度でも持続期間が長くなっています。

クレビエルコントアの持続期間は1年〜1年半程度なのに対して、ボラックスは2年以上とより長く持続します。

私が重要だと思っている操作性に関しても、ボラックスが圧倒的に優っています。
クレビエルコントアはシリンジを押す時に強い力が必要で、そのままだと使いにくいので、他のシリンジに移し替えたり、生理食塩水やキシロカインを混ぜてから注入するなどしなければなりませんでした。

クレビエルは製剤自体は良いと思うので、シリンジが改良されたらもっと良くなるのにな〜と思っています。

レディエッセ

レディエッセはヒアルロン酸ではなくてカルシウムアパタイトです。

ヒアルロン酸と同様、少しずつ分解されて、最終的には完全に吸収されます。

シャープな形が出せるので、鼻や顎への他、スーパーモデルのようなメリハリのある骨格作りのために、欧米ではレディエッセを使われている先生が多いです。スーパーモデル顔のためのレディエッセ

レディエッセは持続期間は1年から1年半ですので、持続期間はボラックスが優れています。

操作性に関しては、押し出しに強い力が必要でスムーズに出てくれず、あまり良くありません。(私はもう長いことレディエッセを使っていないので、もしかすると改良されているかもしれません)

私がレディエッセを使わなくなった理由は安全面からです。
ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解剤)ですぐに溶かすことができますが、レディエッセは溶かせません。
ヒアルロン酸でもレディエッセでも、非常にまれですが血流障害やバイオフィルム、感染などのトラブルが起きる可能性があります。感染対策を行い、解剖を熟知して、適切な手技で注入しても、100%安全、ということはありません。万が一、トラブルが起きたときにすぐに溶かせなければ、できることが限られてしまいます。

硬くて吸水性の低いヒアルロン酸製剤が登場し、レディエッセでなければできない治療が無くなったので、リスクを犯してまでレディエッセを使う必要は無いな、と考えて、レディエッセは扱わなくました。

ボラックスが合う場所

ボラックスは顎とフェイスラインが適応箇所とされていますが、他にも良い場所がたくさんあります。これが正解、という注入方法も存在しません。
製剤をどう使うかは使う医師次第で、うまく使いこなすことが出来れば、仕上がりも良くなります。

日本人は顎が小さい人が多いです。顎を前に出すとお顔全体のバランスがとても良くなるのですが、下に長くはしたくないし、横に広がってしまっては美しくありません。
顎の形成は今までボリューマでやることが多かったのですが、ボラックスはボリューマよりもよりシャープで美しい顎の形成が可能です。

エラ〜フェイスライン

エラから顎までを結ぶライン(ジョーライン:jaw line)を整えるのにボラックスは最適です。

美しいフェイスライン ネフェルティティ美しいジョーラインで有名なのは古代エジプトの女王ネフェルティティですが、顔の輪郭がシャープであることは、美しさの条件の一つとされています。
エラにヒアルロン酸を注射する、とお話すると、「エラはボトックスで小さくするのに、そこにヒアルロン酸を注射したら顔が大きくならない?」と不安になる方がいらっしゃいますが、それはご安心ください。
エラの支えは年齢とともに減ってきます。
シャープなフェイスラインをヒアルロン酸で作る

昨日もご紹介した患者様です。
治療前はフェイスラインがぼやけていますが、エラ〜アゴのジョーラインが整ってメリハリのあるきれいなお顔になりました。

ボラックスは鼻の形成に最適です!
鼻筋を細くしてスッと通すのは当院では日々、やっています。鼻筋を通すのはボリューマでもとても美しくスッとシャープな鼻が仕上がりますが、しっかり高さを出すと広がる恐れがあるので、しっかり高さを出したい場合はボリューマよりもボラックスが向いています。

フェイスリフト

頬骨のあたりや目の下付近にヒアルロン酸を注射してお顔をリフトアップするのもボラックスは最適です。リフト力が高く、立体感が出しやすく、メリハリのあるお顔に仕上げられます。肉厚な方で、頬のボリュームを出したくないけどお顔をシャッキリさせたい、という場合はボラックスが良いです。

日本人は眉があまり前に出ていない方が多いです。目と眉が同じ位の高さだったり、中には眼球の方が突出していることもあります。ヒアルロン酸で少し、眉を出してあげると、彫りが深くなって立体的なお顔になります。
やり方によっては、顔の横幅を抑えてお顔を中心に寄せることもできます。
そういった治療もボラックスが向いています。

ボラックスが合う方・合わない方

ボラックスがフェイスリフトに良い、と書きましたが、特に肉厚なお顔の方のフェイスリフトに最適です。重みのあるお肉をしっかり支えてリフトアップしてくれるのです。
肉厚な方のジョーラインにもとても向いていて、きれいなフェイスラインを演出できます。

逆にお顔が痩せている方のフェイスリフトやジョーラインにボラックスを使うと、凹凸が出やすいのでボリューマをチョイスします。

製剤選びは仕上がりに直結する

8年位前までは、製剤選びの重要性を今ほど意識しておらず、目の前にいらっしゃる患者様の状態を美しく仕上げることにひたすらフォーカスしていました。硬い、柔らかい位の使い分け位しかできておらず、使用する製品によって、時間経過とともに仕上がりに大きな差が出ることまで考えが及びませんでした。今から考えるとダメダメです。

その頃はヨーロッパ製のとあるヒアルロン酸製剤を使って治療していました。CEを受けている、信頼性の高い製剤です。
その後、別のヨーロッパ製の製剤(これもCE認可)に切り替えたところ、患者様のリピート率がグンと上がりました。
注入方法は変えておらず、直後の仕上がりは同じなのに、製剤を変えただけで、良い状態が長くキープされるようになって、患者様の満足感が格段にアップしたのです。

その時、製剤選びの大切さを痛感しました。それをきっかけに、患者様の状態に合ったヒアルロン酸を使うことを意識するようになりました。今はヒアルロン酸製剤のほとんどをアラガン社のものを使っています。

当院でヒアルロン酸注射をお受けになった方の9割以上がリピートしてくださっていますが、それは適切な製剤選びも大きなファクターだと思います。

アラガンのヒアルロン酸は、他のヒアルロン酸に比べて仕入れ価格がとても高いですが、その価値があると思います。適切に使いこすことができれば、それに応えてくれるシリーズです。
(私はアラガンの回し者でもなんでもなく、アラガン以外のヒアルロン酸も適応に応じて使っていますが、バイクロスシリーズは本当に気に入っているんです)

ボラックスの料金

ボラックスの料金設定を悩みました。
ボラックスは他のバイクロスシリーズより仕入れ価格が高いんです。なので治療料金も高く設定させて頂こうかと思いましたが、同じにしました。
私が注入させていただく場合、通常タイプのヒアルロン酸と長期持続タイプのヒアルロン酸とを選んでいただき、予算などから本数を決めて頂き、注入するときは製剤選びや治療部位はお任せ頂くのが一般的な流れです。(もちろん、事前にお悩みの場所やどうなりたいかなどは伺います)
料金を他の製剤より高くすると、最初からボラックスは1本、残りは別の製剤、など縛りができてしまい、治療の際に自由度が落ちてしまいます。それよりも、料金を同じにして、決まった本数の中で製品を自由に選びながら治療した方が、より満足していただける結果に繋がると思ったのです。
もしかすると今後、ボラックスを値上げさせていただくかもしれませんが、当面の間は同じ値段とさせて頂きます。

ヒアルロン酸注射の詳細はこちら

【料金】
[ 池上による治療 ]
長期持続タイプ 12万円(2本目〜 11万円)
1年持続タイプ 8万円(2本目〜 7万円)
[ 池上以外の医師による治療 ]
長期持続タイプ 9万6000円(2本目〜 9万円)
1年持続タイプ 6万4000円(2本目〜 6万円)
※ボリューマ、ボリフト、ボルベラ、ボラックスが長期持続タイプのヒアルロン酸です。

【副作用】
注入時、多少の痛みがあります。
内出血、赤み、腫れが出現する場合がありますが、
翌日からメイクができます。

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池上 彩子

Saiko Ikegami.M.D., Ph.D.

マグノリア皮膚科クリニック
美容皮膚科医・医学博士

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